1.なぜ具体化するのか「かわいくしてください!」打ち合わせや依頼の場でよく耳にする、魔法のような言葉。ですが、実はこれほど作り手を悩ませる「あいまいなワード」はありません。ある人にとっての「かわいい」は、砂糖菓子のような甘いパステルカラーの世界。でも別の人にとっては、飾り気のないシンプルでナチュラルなスタイルかもしれません。この「かわいい」の解釈をすり合わせないまま制作を進めてしまうと、「なんだか思っていたのと違う……」という悲劇的なすれ違いを招いてしまいます。そこで今回は、デザインの現場で役立つ“かわいい”の6つのタイプを徹底解説。あなたが求めている「かわいさ」はどれに当てはまるのか、一緒に整理していきましょう。2.「かわいい」を分類する6つのタイプ例ガーリー(Girly)【雰囲気】やわらかく可憐で女の子らしい印象。ふんわりと優しく親しみやすい、甘さのあるロマンチックなスタイルです。【デザインの特徴】細めの明朝体やエレガントな書体を使用し、ピンクやパステルカラーを基調とした配色が特徴で、モチーフには花、リボン、レース、ハートなどがよく使われます。【甘さ】★★★フェミニン(Feminine)【雰囲気】上品で落ち着きがあり、大人っぽさの中にやさしさや清潔感(きれいめ)があるスタイルです。【デザインの特徴】細めの明朝体やエレガントな書体。くすみピンク、アイボリー、ラベンダーなどの淡くやさしい配色で、花、レース、ボタニカル柄、飾り罫などが合います。【甘さ】★★ポップ(Pop)【雰囲気】明るく元気でハッピー。にぎやかで親しみやすく、楽しい遊び心のあるスタイルです。【デザインの特徴】太め・丸みのある書体を使用。ビビッドカラーやコントラストの強い配色で、パターンやドット、ストライプなど。【甘さ】★ファンシー(Fancy)【雰囲気】幻想的で神秘的。キラキラ、ふんわりとした浮遊感があり、ノスタルジックやファンタジーなスタイルです。【デザインの特徴】手書き風や少し装飾がある書体。ピンクやミントなどのパステルカラーや、やわらかいグラデーションを基調とします。星、月、光のぼかしなどが代表的なモチーフです。【甘さ】★★★ナチュラル(Natural)【雰囲気】自然体で飾らない、素朴な可愛らしさを表現するスタイル。手作り感のある温かみが特徴です。【デザインの特徴】手書き風やシンプルな書体。派手すぎず、少しくすみ感があるやさしい配色で、花、木、鳥、線画などのモチーフが合います。【甘さ】★はんなり(Hannari)【雰囲気】日本的な上品さと奥ゆかしさ。落ち着きのある和のやさしさがあり、控えめながらも華やかさがあります。【デザインの特徴】上品な明朝体や丸みのある書体。桜色、薄紫、抹茶色、金色などの和の配色に、桜、梅、菊、扇子、和柄などのモチーフを合わせます。【甘さ】★3.具体化することで期待できることすれ違いが減る「ガーリー系のかわいい」「ポップ寄りのかわいい」「大人フェミニンなかわいい」といったように方向性を言語化できると、抽象的な「かわいい」が具体化され、イメージのズレが減り、制作のスピードと完成度が高まります。 提案に“理由”が生まれるかわいさを分類して考えることで、デザインの意図も整理しやすくなります。例えば「ターゲットが20代女性なので、甘すぎないフェミニン寄りのかわいさにしています」といったように、方向性を理由とともに説明できるようになります。感覚だけに頼らず伝えられるため、提案にも自然と説得力が生まれます。 修正がスムーズになる修正のやり取りも、「もっとかわいく」という曖昧な表現ではなく、「もう少しナチュラル寄りに」「ポップさを抑えて大人っぽく」といったように、方向性を意識して調整できるようになります。4.まとめ今回は「かわいい」を例に挙げましたが、これは「かっこいい」などの表現にも共通して言えることです。大事なのは、溢れるイメージを抽象的な言葉で終わらせないこと。「どう」かわいいのか、「どう」かっこいいのか。自分の中のイメージを丁寧に具体化し、言葉に落とし込むことが大切だと思います。